コラム

JALは北極回りを飛行

「21世紀になってもこんなことがあるのか!」という非常事態が起きている。民間航空にも大きな影響が出ている。
ウクライナ上空は戦争状態で飛行できず、ロシア上空も多くの航空会社が避けている。3月4日と5日の航空会社の代替ルートをみると、日本のANAや多くの欧州の航空会社は中国、中央アジア経由の所謂シルクロードルート(マスコミは南回りと報道している。もともと南回りと言えば香港、デリーかカラチ、中近東を経由して、ローマ、ロンドンかパリのルートだった)
JALだけはマスコミが言う北回りを飛行している(このポーラールートという北極回りは私も何度も飛行し、地球温暖化による北極海やグルーンランド姿の変貌に驚いた)
北極回りだと、双発機で問題となるのがETOPSというルールに適合する必要である。JALが使用しているB777-300ERという飛行機のETOPSは180分のはずである。Flghtradar24による航跡をみると羽田空―アラスカーグリーンランド―アイスランドーロンドンヒースロー空港となっている。ETOPSで問題となるのは、アラスのフェアバンクス空港とグリーンランドの西北部にあるにあるチューレ(THULE)アメリカの軍事基地間の飛行時間が180分以内で、かつチューレ基地の天候とNOTAMが緊急着陸可能であったはずである。チューレ基地とアイスランドのケフラビック(KEFLAVIK)空港間と、ケフラビック空港とロンドンヒースロー空港の飛行時間はいずれも120分前後で、ETOPSには問題ない。推定時間は以前私が北極回りを飛行していた経験からのおおよその時間である。南回りも北回りもロシア上空飛行より、いずれも3~4時間飛行時間が長くなる。(専門用語の説明は省きました)
ウクライナ情勢が刻々と変化している状況下で、各航空会社は安全を最優先したうえで、様々な条件を考慮して飛行ルートを選択し、運航していくことになるであろう。

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