コラム

大気の不安定とはいったいどういうこと?

最近発生する局地的な集中豪雨は、湿った空気の上にジェット気流の蛇行によってもたらされた寒気により、急激に積乱雲が発達して発生するもの、と前回のブログで説明しました。テレビはこれを「大気が不安定になり・・・」と説明しています。ここで、「大気の不安定」とはどういうことかを説明します。

高度が上がるに従い、気温は下がっていきます。これを気温逓減率(きおんていげんりつ)といいます。平均すると高度が100m上がると気温が約0.6度C下がり、1000mで約6度C下がることになります。「大気が不安定」とは、高度が上がるにつれ、温度の下がる割合が大きいことをいいます。そして、下層に湿った空気があると積乱雲が発達し易くなります。逆に気温逓減率が小さい場合を「大気が安定している」といい、下層に湿った空気があっても積乱雲は発達しません。

逆に上空の方の気温が高い場合は、その層を逆転層といいます。地表が放射冷却により冷えた冬場によくみられる現象です。
何れにしても、対流圏では上空に行くに従い気温は下がっていきますが、成層圏との境目である圏界面では、マイナス54度C付近で気温が下がらなくなるか、気温が少し上昇することがあります。これを圏界面(トロポポーズ)といい、積乱雲や雲はこの層によって、鍋の蓋をされたように上から抑えられて、これ以上には発達しません。

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