コラム

太陽フレア(Solar Flare)の影響と日本の対応

今、地球上ではロシアによるウクライナへの侵攻で悲惨な状況続いている。宇宙から地球をみた場合、国境などはなく地球はみんな同じ影響を受け同じ運命を背負っている。そのひとつに、太陽フレア(Solar Flare)がある。太陽の表面で異常爆発が発生した際に放射線などが地球に届く現象で、通信障害や停電を引き起こすことがある。
私は以前、アラスカのアンカレッジから北極の上空を経由してヨーロッパに向けて飛行中、オーロラが鮮やかな色を発して激しく揺れている光景を操縦席からみていた。そのとき地上の管制官とのHF(長波)通信が3時間以上交信できなかった経験がある。当時、太陽の黒点活動が活発でその放射線が盛んに地球上に降り注いでいたことを後から知った。
太陽の異常爆発は十数年単位で推移して、2025年が次のピークといわれている。ドローンや走行中の自動運転車に太陽フレアの影響が出れば、GPSの位置情報がずれるなどし、衝突事故が起きる可能性もある。太陽フレアの放射線が送電線に影響することもあり停電する恐れがある。スウェーデンでは2003年に大規模停電が発生したことがあった。
国連防災機関(UNDRR)は昨年10月、太陽フレアを「社会生活への脅威」と位置づけ、各国に対策の見直しを提言している。米国は国土安全保障上の自然災害と位置づけており2015年に国家戦略を策定している。英国も2021年に同様の国家戦略を掲げており、中国とロシアもすでに2018年に相互協力協定を結んでいる。
日本はこれまで大きな対策をとってこなかったが、技術革新や国際的な流れを受けて総務省は企業や行政向けの新たな警報を検討し、今年年度中の導入をめざす。危機管理の甘い日本は明確な指針がなかったが総務省がようやく動きだしたようだ。2025年には自動運転車やドローンなど新技術の普及が進むとみて必要な体制整備を急ぐ必要がある。

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