コラム

香りを「聞く


昨日(4月1日)の朝日新聞で志野流香道次期家元の蜂谷宗苾さんを取材した「日本のにおい」とう記事が掲載されていた。今日(4月2日)東京五反田にある薬師寺東京別院でお稽古があるということで、それに参加させて頂いた。
デジタル化が加速する社会で、感性の大切さ、五感をフルに使って生活を楽しむことにより、人間が元来もっているはずの感性を蘇らせることができることは、前々回のコラムで触れた。
五感の中でも嗅覚は、人間のもっている感性にじかに届くといわれている。そして、香りはイメージにも働きかける。従って、香道では香りを嗅ぐとも匂うともいわず「聞く」という。
香道に関しては、全くの素人であるが、香りを「聞く」というこの言葉にこそ、香道の奥深さと魅力が秘められているのではないかと感じた。
私は危機管理での視点から、危機の兆項を事前に察知するためには、研ぎ澄まされた感性が重要であると思っている。兆項とは「におい」でもある。香道は、茶道、華道などともに日本文化を代表するものである。確かに礼儀作法や立居振舞などの約束事もあるが、その原点は香りそのものを楽しむことにあり、五感を蘇らせてくれるものと思っている。最近、香道に興味をもっている人が増えているという。その背景にはデジタル社会であるからこそ、感性の大切さに気付き始めているのではなかろうか。
(写真は志野流次期家元の蜂谷宗苾さんと。「聞香」の自分

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