コラム

ワクチン接種遅れる日本の社会風土

政府は2月下旬にも新型コロナウイルスワクチンの接種開始に向けて
準備を進めている。ワクチン接種が世界的に本格化する中で、国ごとの対応の差が浮き彫りになってきた。日本はG7のなかでワクチンの承認が一番遅くなっている。ちなみに、外電からの情報を総合して主要国のワクチン接種状況をみると、イスラエルが断トツにすすんでいる。
そしてUAE(アラブ首長国連邦)バーレン、英国、米国と続いている。
日本が他国に比べて承認が遅れている要因には、日本社会に潜在的にある「ゼロリスク」、絶対安全という「安全神話」を求める風土が依然としてあるのではないかと考えられる。薬の副作用は確率が非常に少なくても、人によってはどの薬にもあるはず。インフルエンザのワクチンにもあるはず。
イスラエルをはじめ、UAE,バーレン、英国、米国は危機管理が徹底している国家であることと、ワクチンの接種が進んでいることと一致しているのは、決して偶然ではない。今、何が重要かといいう重要度を厳しく選定し、リスクアセスメントに則り、リスクを乗り越えて前に進むフロンティア精神がその底流にあると推定される。
コロナのワクチンの承認、接種でも他国に後れをとる日本は、確かに政府の決断の遅れがあると言えるが、その背景には「ゼロリスク」を求める日本の社会風土が影響していると考えられる。また、日本は科学的な安全と心理的安心が一致しない風土もある。コロナ禍を機に、少しでも安全と安心が近くなる風土形成が必要ではなかろうか。

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