コラム

情報化時代にあって、情報編集力の重要性が高まる

5月17日のNHKスペシャル「新型コロナウイルス ビッグデータで闘う」を視聴した。

番組はビッグデータを活用してウイルスに打ち勝つために、膨大な科学論文データをAIで解析、専門家の協力も得て有益な情報を導き出すプロジェクトの様子と、山中伸弥教授の考えを紹介していた。目に見えないウイルスに打ち勝つためには、様々な分野の知見を集約する情報力と、それを基にした対応が求められる。番組の内容から、ビッグデータを活用して新型コロナウイルスに打ち勝つためには、まさに膨大な科学論文データの編集力が鍵を握っていることを感じた。拙著「OODA 危機管理~」でも、情報力は、情報収集力、情報分析力、情報編集力から成るが、これからの時代はこの中でも、特に情報編集力が重要であることを述べているが、それを裏付ける内容でもあった。

そして、もうひとつ頷いたことは、番組の最後に“情報を発信する、受け止めるなかでどういったことが大切か”との問いに山中伸弥教授は「これだけの爆発的な情報のなかから正しい情報をどう受け止めていくか、誰の話を聴くか、ということが非常に大切だと思う、どんどん情報が変わっていく中で謙虚であること、前に発言したことが間違いだとわかればすぐに認めて次の手を打つ、という謙虚さが大切だ。転んでもただでは起きない、まずはしっかり立ち上がることが大切である。立ち上がったあとで前よりも強くなる、同じ転び方はもうしない、ピンチはチャンスで前向きに捉えることが大切である。」と締めくくっていた。「コロナ対策でも大切なことは謙虚であること」さすが、物事の本質をついたことをコメントされることに感心させられた。同時に私は講演や著書のなかで、危機管理の心構えの心髄は「謙虚心と自律心」であることをいつも強調している。コロナ対策は人類にとっての重要な危機管理であり、これまで自分が考えていることに間違えなかったと頷くことができた。6月下旬には、公官庁や企業の部課長クラスの、次世代のリーダーにテレビ会議方式で「危機管理」の講演をする。是非「謙虚心と自律心」に触れる予定である。

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