コロナの感染予防に関して「ソーシャル・ディスタンス」という言葉を聞かない日はない。直訳の「社会的距離」ではピンとこない。具体的には人と人との距離、人と人との「間」である。元々日本には「間」の文化というものがあり、「間」を大切にしてきた。
「間」のとり方によっては話のスピーチ、人間関係など様々なことに大きく影響する。
「間」とは「空間」を意味する。「空間」には「物理的空間」と「時間的空間」とがある。効率が求められる現代にあって、「空間」は「無駄」であるとされる。従って、一般に「間」をとることが少なくなってきている。
日本家屋の「床の間」は、合理性を追求する建築様式からすれば、無駄な空間である。しかし、自然との調和を大切にする日本人の美意識の高さを象徴するものではなかろうか。
これは私見ではあるが、「空間」には「心理的空間」(あるいは精神的空間)もある。「床の間」や「茶道」などは、日本人が心理的空間と向き合う「空間」であろうかと想像している。
「間」の大切さは、安全管理や危機管理の視点からも、重要なテーマである。私は、講演や著書のなかでも、ミスやトラブルを減らすためには、2~3秒でいいから、「間」をとって判断、操作することを薦めている。「間」の大切な具体な事例としては、車と車の「間」、つまり車間距離を適切にとることで事故を防ぐことができる。
コロナ禍が、私たちの生活様式を見直す機会を与えてくれている。そのひとつとして「ソーシャル・ディスタンス」からヒントを得て、日本古来の「間の文化」を大切にしたい。