コラム

確実な行動を促すための情報発信の秘訣

日本ではメディアをはじめとして、一般にコロナの感染予防として「ソーシャル・ディスタンス」という名詞の言葉を使用している。英語圏の国々では“social distance”という言葉は、社会的、心理的な距離を言う。例えば「あのひとには近づき難い」「あのひとは自分とは別世界のひとだ」というようなニュアンスで使われている。感染拡大を防ぐために物理的な距離をとるために使用する言葉としては、“social distancing,”または“physical distancing,という動詞を伴う言葉を使っている。

ちなみに国際機関では、日本で一般に使用されている「ソーシャル・ディスタンス」について次のような情報を発信している。

WHO(世界保健機構)

敢えて特別な用語は使用せずに“Maintain at least 1 meter (3 feet) distance between yourself and others.”「自分と他の人と1m(3フィート)の距離を保って下さい」と行動を推奨している。

ICAO(民間航空機関)

用語としてphysical distancing「身体的、または物理的距離を保つ」を使用している。

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)

“Social distancing, also called “physical distancing,”「social distancing, またはphysical distancing,とも言う」と、具体的にイメージできるように“physical distancing,とも言う、と丁寧に説明したうえで、さらに”Stay at least 6 feet (about 2 arms’ length) from other people“「少なくとも他の人から「6フィート(腕の長さの2倍)は離れていなさい」と補足説明をしている。6フィートの長さを、腕の2倍の長さと言い換えている。これだけ具体的に説明すれば、誰でもイメージでき、行動に移し易い。

私はCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の文章を読んで、確実な行動を促すためには、ここまでするのか、と情報発信の秘訣というものを教えられた。

日本政府も、自治体もメディアも、このCDCの情報発信の仕方を是非参考にして頂きたい。

海外からの情報を活かすことは大切である。日本語に訳す場合は、まずその情報の目的は何かを明確にする。実際にその情報を日本国民が行動に移すためには、具体的な言葉で、かつ動詞もつけて丁寧に情報発信する必要ではなかろうか。

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