コラム

「ヒューマンエラー」と「ミス」の視点の違い

明日、都内で独立法人の某機構の職員の方に「安全作業とヒューマンエラー」とうテーマで研修を担当します。
日本ではヒューマンエラーによる事案が発生すると、マスコミは必ず「~ミス」と報道します。そこで、この機会にヒューマンエラーとミスについて整理してみました。

(1)ヒューマンエラー」は専門用語、「ミス」は日常語として使用されている。「ヒューマンエラー」は、人間の心理的・行動的メカニズムに基づいた専門的な分析概念である。
一方「ミス」は、結果としての失敗を指す日常的な言葉で、原因分析までは含んでいない。したがって、報道や一般社会では「専門分析」よりも「結果の分かりやすさ」を優先するため、「ヒューマンエラー」より「ミス」が使われやすい。

(2)「ヒューマンエラー」という考え方は、もともと個人を責めるのではなく、システム全体の欠陥を見つめ直すために生まれました(例:ジェームズ・リーズンの「スイスチーズモデル」等)。ところが報道や世間では、「誰がミスしたのか」 「なぜ間違えたのか」と、責任追及の構図で語られることが多い。そのため、個人の過失を強調する「ミス」という言葉のほうが、ニュース的にもストーリーとして伝わりやすい。

(3)「ミス」は感情的に理解しやすい。人は「エラー」と聞くと抽象的で、「ミス」の方が共感・感情的反応を呼びやすい。報道では、専門性よりも視聴者の理解・反応を重視するため、「ヒューマンエラー」より「ミス」を選ぶ傾向がある。

ちなみに、2024年1月2日に羽田空港で起きた事故では、日本のメディアからは主に「誰が」という視点で、欧米のメディアからは「何が」という視点で多くの取材を受けました。日本と欧米のメダィアの視点、興味の違いを改めて認識しました。

最近の記事

  1. 春一番

    2026.02.23

アーカイブ
PAGE TOP