トランプ大統領の思いつきによるコロコロと変わる発言で日本をはじめ世界中が右往左往している。今、VUCA時代と言われているが、トランプ大統領の再選によって、その傾向が鮮明に表れたと理解した方がよい。
従来の危機管理のように、詳細な計画を事前に策定し、その計画通りに進めることを重視するのではなく、「変化は起こるもの」という前提に立ち、「変化に素早く対応できる組織能力」を高めることに重点を置く必要性が増すことはほぼ確実です。そのためには、アジャイルな対応が求められるようになると思っている。
アジャイル対応(Agile Approach)は、ソフトウェア開発の分野で生まれた概念で、予測困難な状況や変化に対して、柔軟かつ迅速に対応することで、その柔軟性と適応性の高さから、近年アメリカなどでは危機管理を含む様々な分野で注目されているが、日本ではまだ関心が薄いようであるので、参考までにアジャイル対応を簡単に紹介すると、次のような特徴があります。
(1)反復的(Iterative)な開発・対応: 大きな計画を一度に進めるのではなく、小さなサイクルを繰り返しながら、段階的に成果物を生み出したり、対応策を実行したりします。各サイクルの終わりには、結果を評価し、次のサイクルに反映させます。
(2)漸進的(Incremental)な進捗: 各サイクルで少しずつ価値や成果を積み重ねていくことで、全体像が不確実な状況でも、着実に前進することができます。
(3)柔軟性(Flexibility): 計画の初期段階で全てを決定するのではなく、各サイクルのレビューやフィードバックに基づいて、計画や方向性を柔軟に変更することができます。
(4)関係者の連携(Collaboration): チーム内外の様々な関係者(ステークホルダー)と密に連携し、頻繁なコミュニケーションを通じて、共通認識を持ち、迅速な意思決定を促します。
(5)早期かつ頻繁なフィードバック: 各サイクルで得られたフィードバックを重視し、早期に問題点を発見し、改善につなげます。
(参考)危機管理におけるアジャイルアプローチの必要性
従来の危機管理では、詳細な行動計画(BCPなど)を事前に策定し、危機発生時にはその計画に基づいて行動することが一般的でした。しかし、VUCAの時代においては、想定外の事態が頻繁に起こりうるため、事前に策定した計画が必ずしも有効とは限りません。日本の企業・団体もぜひこのアジャイル対応(Agile Approach)を構築して貰いたいと思っていますので、危機管理の講演等でも紹介していく予定です。