コラム

「どうする家康」その(2)と現代に通用する人間学

明日(8日)からいよいよNHK大河ドラマ「どうする家康」が始まる。徳川家康に関しては、山岡荘八の長編の時代小説がある。私は20代の中頃にその全26巻を一気に読んだ。航空界ではヒューマンファクターと取り組み始めた頃で、人間学として非常に参考になった。小説のなかで、これはいずれ活かすことができると感じた文章を、ノートに書き留めておいた。この機会にその古いノートを探して読み返してみると、やはり現代に通じることがたくさんある。人間学という視点からすれば、当然といえるだろう。

当時に書き留めておいた文章のひとつに、第17巻「軍茶利の巻」に『ものごとには機を見る敏と、事を決する断とがなければならない』というのがあった。戦況の変化が激しく、不確実な戦国末期にあって、情報に対する感性と迅速な意思決定(決断)によって、天下人になった家康のリーダーとしてのマネジメントの特徴の一つを表しているのではないかと思った。
これは、変化が激しく、コロナやウクライナ問題に代表される不確実なVUCAと言われる、今の時代において求められる迅速な意思決定のループである、まさにOODAそのものである。つまり、家康はOODAループ(観察・情報収集―状況認識・状況判断―意思決定(決断)-行動)を迅速に実行してきたことになる。
大河ドラマがどのような脚本で放送されるかは分からない。家康には運が味方した面もたったであろうが、状況が刻々と変化し、不確実な状況ななかで、様々な危機や難局に遭遇するたびに、『敏く機をみて迅速に決断・実行してきた』からこそ、最終的に天下人となれたのではなかろうか。
今回の大河ドラマを、ヒューマンファクター、人間学、リーダーとしてのマネジメントなどの視点から視聴すると、現代の我々にとっての生き方にも、いろいろと参考になるのではないかと予想している。

(注:写真はノートに書き留めた文章が載っている第17巻の表紙)

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