コラム

本や講演で得た教えを自分なりにカスタマイズする

今年は、精神科医の和田秀樹先生の70歳代、80歳代の高齢者向けの本がベストセラーとなっている。京セラ、KDDIの創始者でJALを奇跡的に再生に導いた稲盛和夫氏の本も、多くの読者に読まれ感動を与えている。私も和田先生とは月に一度は会う機会があり、本人からいつも直接その著書を頂いて読んでいる。
1998年に致知出版社主催の稲盛氏の講演を聴き、経験に裏付けされた説得力のある話に感動した。それ以来,稲盛氏の講演テープを全て購入して何度も聴き直しているうちに「この人がJALの社長になってくれたら」と思うようになった。それが、2010年のJALの経営破綻で現実となった。稲盛氏以外では、JALの再生はなかったであろうというのが、多くの識者の見方である。

企業のトップ、民間航空の機長に課せられた最重要事項は、どのような状況に遭遇しても企業を存続させることであり、乗客・乗員の安全の確保である。これから機長昇格訓練に投入されるパイロットの投入前セミナーにおいて、私は、稲盛氏の講演や講演テープから得た教訓を、機長用にカスタマイズして伝えてきた。

一般に講演、セミナーでの話や本に書かれていることは、不特定多数の読者に向けての情報や教えである。どんなに質の高く良い話や文章であっても、一人ひとりにぴったり合うとは限らない。こうして得た学び得たものを、自分の人生に必ず活かすためには、学んだことを自分が目指す生き方や状況、実力に合わせて、自分にぴったりフィットした自分なりのオリジナルに作り換え、自分用にカスタマイズしてはじめて活きてくる。
和田先生の高齢者向けの本、稲盛氏の生き方の本も、自分なりにカスタマイズしてこそ、本人の血となり、肉となるのでは、と思っている。

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