コラム

海部元首相91歳で老衰のため亡くなる

海部元首相は外交、内政で日本の転換点となる多くの課題に取り組んだ。その最大の課題であった湾岸戦争における国際協力の試みは、自衛隊のPKO参加のきっかけとなり、その後、自衛隊の多様な国際協力へ道を開いた。湾岸戦争では厳しい国際情勢と平和ボケの日本との間で苦悩されながら、世界の中の日本国のために大変な尽力をされた。海部首相には私自身特別な思いがある。
私は湾岸戦争直前の湾岸危機時、海部首相のサウジアラビア、エジプト、トルコ、オマーン、ヨルダンの中東5カ国訪問のための首相特別便を担当する機長として、5カ国の空港の調査を緊迫した中東情勢の中で実施した。すでにイラクの戦車隊がクウェート国境に集結している一発触発の状況で、ヨルダンでは警備の軍隊から自動小銃を何度も突きつけられた。エジプトのムバラク大統領との公式会談を終えたあとに、ルクソールにある遺跡を見学したいという海部首相の意向があり、私はエジプト航空機の操縦席でオブザーブしながらルクソールに行き、空港の施設の調査や空港当局との調整を行った。海部首相の非公式でのルクソール訪問は、私が中東5カ国の調査を終えて帰国した2日後に、イラク軍がクウェートに侵攻してクウェートを占領して湾岸危機、湾岸戦争に発展するという情勢になったことで実施されることはなかった。
竹下首相、小泉首相の特別便も担当したが、それは平時のことで特別な思いはないが、海部首相には鮮明な記憶と思いが残っている。

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