コラム

緊急事態宣言の延長と非常事態に対応できない日本の制度・体制

政府は10都道府県を対象に、3回目となる「緊急事態宣言」を出し、しかも延長せざるを得ないことになった。日本の危機管理に関して海外からよく指摘されるのが“Too Little Too Late”である。日本のコロナ対応はまさにその指摘を絵に描いたとおりのものである。
今後、大水害、地震、津波、新型ウイルスによるパンデミック、大規模なテロ、外国からの攻撃や侵略等に備えて、今回の日本のコロナ対応の甘さの本質を把握しておく必要がある。
メディアは政府や自治体の対応のまずさを指摘している。確かにそれも一理ある。本質は、日本の憲法をはじめてとして、法律、制度、体制は、平時のものであって、非常事態に対応できるものになっていないことである。この本質に目を向けて検討しない限り、日本は今後非常事態に遭遇した際に、国民の生命、生活を守ることができない。安全保障は国土と国民を守るのが目的である。戦後日本は憲法や安全保障を問題にした場合、ほとんど戦争や自衛隊についてのみ議論されてきた。自然災害やウイルスなどから国民の命を守ることは、重要な安全保障の課題である。コロナ対応は、今後起こり得る各種の非常事態に対して、国民の命、生活を守ることができる法制度、体制の本質を考える機会を与えてくれたのではないかと思っている。世論はメディアの情報によって左右されることが多い。目先の事象を追って報道することはメディアの性質上仕方がないということもあるが、少なくとも新聞の社説やテレビの特集番組等では、本質について触れることを期待したい。これはあくまで危機管理の視点からのつぶやきである。

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