コラム

東京五輪・パラリンピック問題から検疫(Quarantine)と安全保障を考え


東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長が森氏の後任として橋本聖子氏に決まった。誰が会長であろうと、開催に向けて難問が横たわっている。その最大の課題がコロナの感染対策である。海外から選手をはじめ多くの関係者が入国する。検疫体制とその後の対応次第では、新たな感染拡大に繋がる可能性もある。この機会に安全保障と検疫(Quarantine)を考えてみたい。
私たちは海外旅行に行くと、相手国の空港で入国審査と検疫(Quarantine)を必ず受ける。日本に帰国したときも同様である。ところで、安全保障というと「軍事」が連想される。「軍事」は、国土や国民の生命に係ることだけに当然である。しかし、安全保障は「軍事」だけの問題ではない。今回のコロナウルスルやペスト菌などの病原菌も、国民の生命に係る。これらも当然、安全保障の重要な項目と捉えるべきである。その手本となるのが、なんと600年以上も前の14世紀のベネチア共和国である。日本では足利時代のことである。
ベネチア共和国は交易で栄えた国である。洋の東西からベネチアの湾に入ってきた船団はすぐには船着場に着岸させず、湾内で停泊させて、まず航海中の様々ことを質問、確認する。少しでも感染等の疑いを持たれた船は、専門の島に着岸さる。そして船員も船荷も、その島で40日間隔離する。今でいう検疫を行って疫病などから国民の命を守っていた。ちなみに数字の40のことをイタリア語で“Quaranta”という。日本語で検疫を表す英語の“Quarantine”は、600年以上前のベネチア共和国が実施していた、国外からの病原菌やウイルスから国民の命を守る安全保障対策からきている
東京オリンピック・パラリンピックの様々な問題から派生して、安全保障というものの本質を考えさせられた。

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