コラム

モンゴルのコロナ対策を見習いたい

昨日(9月19日)日本リスクマネジメント学会のZoomでのオンライン学会に参加した。

参加者の中のモンゴル国立大学の教授による、ウランバートルから貴重な報告があった。モンゴルのコロナ対策をリスクマネジメントの視点での報告であった。モンゴルの感染者数とコロナ対策を聴き、それと比較して日本のリスクマネジメント、危機管理体制の甘さを改めて再認識させられた。

9月11日現在の、モンゴルの感染者は311名、死亡者はゼロ、治療中は29名とのことである。

今回の新型コロナウイルスの発祥地とされる中国と国境を接しているのに拘わらず驚異的に少ない数字である。

報告の主な内容は、対策の早さとして、1月30日にいち早く非常時地宣言を出した。そして2月1日~3月1日の間、中国との国境を閉鎖した。3月10日に初めて感染者が一人確認されたが、それは外国から入国したフラン人であった。そのフランス人の感染が確認されるまで、フランス人と接触した約300名の全ての人を探し出して、PCR検査を実施した。

我々日本人は、中国や欧米の感染者数、感染対策に成功しているニュージーランドや台湾については報道で知らされている。その2か国以上にコロナ対策に成功しているモンゴルのことは報道されることはない。今回、ウランバートルからの報告で私は初めて知った。モンゴルのコロナの感染者数が極めて少ない背景は次のようなことがある。

(1)元々遊牧民で大自然を相手に生き延びていくためには、早く決断して行動をする習慣がある。(小林注釈:リスクマネジメント・危機管理に必要な決断と迅速な実行)

(2)1960年代にペストに対する感染取り締まり体制ができている。(小林注釈:すでに感染対策の体制が出来上がっている)

(3)近年都市化進んでいるとはいえ、草原の国で、都市以外では「密」になることはない。

(4)情報公開が徹底している。毎日午前11時に、テレビで保健大臣と関係する各機関の担当者が記者会見をし、質問を受けている。(小林の注釈:情報公開とリスクコミュニメケーションが徹底している、リスクマネジメントを成功させるポイントのひとつにリスクコミュニケーションとセットで実施することが大切である)

(5)広い国土ではあるが携帯、インターネット、テレビが普及し、E教育が充実している

こうしたモンゴルの取り組みと日本のそれとを比較すると、残念ながら甘さを感じざるを得ない。昨日から4連休が始まった。テレビで放映される各地の様子の映像を観ると、「密」の状態に戻っているケースが多く、感染の第2波が心配だ。

ちなみに、モンゴルは、このように感染対策に成功しており、9月21日には、各種の規制を解除し、学校も再開するとのことである。

最近の記事

PAGE TOP