コラム

ノーベル物理学受章の小柴昌俊さんと自然界から学ぶ

ノーベル物理学賞を受章された小柴昌俊さんが先日94歳で老衰のために亡くなった。物理学というものは、まさに自然界の物理現象を根気よく観察して、その原理を発見することだということは、素人の自分での理解できる。人間は大切なこと、原理原則は自然から教えられるものである。戦前の物理学者で随筆家である寺田寅彦は「科学者は自然を恋人としなければならない。自然は恋人のみに真心を打ち明ける」という一文を遺している。これを私なりに解釈すると「科学者だけでなく、人は誰でも自然を愛し、自然を丁寧に観察することにより、大切な真実、原理原則を教えてくれる」ということになる。

「人間は万物の霊長」など言う言葉もあるが、自然をよく観察すると、とてもそのような傲慢な気持ちなどにはなれない。植物、鳥、昆虫を観察していると、人間が持つ機能より遥かにすぐれた機能、能力に気付かされ、教えられることがたくさんある。私が長年勉強し続けている危機管理の分野において求められる心構えに「謙虚心」と「自律心」がある。その「自律心」は、与えられた環境の中でひたすら生き抜く植物の姿を観察して教えられたのが、そのひとつである。そして、自然を観察していると、「謙虚」にならざるを得なくなるものである。

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