コラム

高齢者だけでなく若者にとっても参考となる本『老けない人」ほどよく喋る』

世の中で起こっているいろいろなトラブル、インシデント、事故の要因の一つにコミュニケーションの不具合が関与しているケースが多い。安全管理、危機管理の視点から、コミュニケーションは人体組織の血液の流れに相当する重要なものだと思っている。各企業が採用する際に、応募者のコミュニケーション能力を重要視していることからも、その重要性が納得できます。
今回は、そのコミュニケーションに関して、高齢者だけでなく若者にとっても大変参考になる本を紹介したい。南美希子著『「老けない人」ほどよく喋る』(副題として健康長寿の鍵は話方にあった)です。

戦後のベビーブームに生まれた団塊の世代が後期高齢者を迎え、日本は世界に例のない超高齢化社会に突入している。こうした背景から、和田秀樹先生の「70歳が老化の分かれ道」や「80歳の壁」がベストセラーになった。これををきっかけに、高齢者向けの生き方の本が次々と出版されている。人にはそれぞれの生き方があり、読む人にとって必ずしもそれらの全てが参考になるとは限らない。
その中で、この本は会話とコミュニケーションが楽しくなり、高齢者にとって老けないために参考となるアドバイスがたくさん書かれている。コミュニケーションの基本中の基本である喋る(話す)ことについて、著者はアナウンサーとして、話し方のプロとしての豊富な経験に基き、具体的なアドバイスが平易な言葉で示されている。

この本を読み返してみると、元気に長寿を目指そうとする高齢者だけでなく、社会で活躍しようとする若者にとっても大変参考になることに気付いた。特に最近の若者のコミュニケーションはLINEやメールが主となっている。いかに通信手段が発達している時代にあっても、人間間社会にとって重要なコミュニケーションの基本は、声を出して話すことである。筆者は本のなでも「文字が書いてあるものは片っ端から音読せよ」とアドバイスしている。
若者にとっても、自分の口で話すことの大切さに気付くことができる。そして、円滑な社会生活に必要な話方の勉強になる本である。

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