コラム

童話「ツルのおんがえし」が教えるもの

おじいさんに助けられたツルが、娘に変身して機織り部屋に篭り、お礼に美しい布を織りました。おじいさんはそれを町に持っていき、高い値段で売ることができました。
機織りをするときは、娘はおじいさんに中を覗かないで、と言いましたが、おじいさんは、つい機織りの部屋の中を覗いてしまいました。何とそこでは1羽のツルが羽を抜いて布に織り込んでいました。ツルがそれに気づくと、「恩返しにきましたが、もうお別れです」と言い、飛び去って行きました。
人間は、「してはいけない」と言われると「ついしたくなる」ものです。おじいさんは「覗いで」言われると、覗くことをイメージしてしまいました。

浦島太郎の童話でも、浦島太郎が竜宮城からの帰り際際に、乙姫様から「これは絶対に開けてはいけませんよ」と言われたのに、玉手箱を開けてしまった。これも、人間の心理をついた物語だと思っています。

飛行機で緊急脱出するとき、客室乗務員が「荷物を持たないで!」と叫んでも、つい荷物もって脱出してしまう乗客がいます。荷物が大事だという心理もありますが、「荷物を置いて!」と叫ぶと、荷物を置くことをイメージしてしまいす。以前、JALでは緊急脱出のビデオでは「荷物を置いて!」であったが、残念ながらなぜか最近は「荷物を持たないで!」になってしまった。
病院や医療機関での講演でも、患者さんに薬の使用法や、健康快復のための「禁止事項」を徹底して貰うためには、否定語ではなく、可能な限り肯定後を使って指導するほうが確実性を期待できるのでは、とアドバイスしている。

日本では「進入禁止」という否定語の看板はあるが、アメリカでは“Keep Off”という肯定語を使用している。

参考までに。

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