コラム

宇宙飛行士の若田光一さんが国際宇宙ステーションから地球に帰還

ISS(国際宇宙ステーション)に長期滞在していた若田光一さんら4人の宇宙飛行士が乗った宇宙船が、12日にフロリダ州の沖合に無事着水した。
若田さんの宇宙滞在は、日本人最多の5回目で、今回のISSでは新型太陽電池パネルの設置準備のため2回の船外活動を実施したほか、月面探査車の開発を見据えた科学実験もこなした。今回の若田さんのミッションが月探索、さらに火星探索へと繋がっていくものと期待される。
2003年2月にスペースシャトル「コロンビア号」が大気圏に再突入する際、空中分解し、7名の宇宙飛行士が犠牲になった。この事故を受けて、日本のJAXAは「日本人宇宙飛行士安全検討チーム」を設置して、NASAからの事故調査報告書や対策の内容を参考に、その後の日本人宇宙飛行士の安全性について検討を行った。
宇宙開発に関しては、全くの素人である私もその一員として委嘱され、検討に加わった。
その関係で、若田さんが日本に一時故国した際には、東京で開催されたシンポジュームに一緒に参加した。また対談を行い航空機の機長と宇宙飛行士の共通点などを話し合った。若田さんに接する度に、その素晴らしい人間性に触れることができた。宇宙飛行士としての技術に優れているだけでなく、その総合的な人間性に優れているからこそ、NASAは5回も国際宇宙ステーションの長期滞在の任務を与え、かつ4回目には日本人宇宙飛行士として、初めて国際宇宙ステーションの船長に任命したのではないかと、想像している。
私たちは、通常チュームで仕事をすることが多い。宇宙飛行士も同じである。安全で確実な仕事をするには「Trust but Verify」の大切さを若田さんから伺った。つまり、宇宙飛行士だけでなく、私たち地球上で仕事をするうえで、「お互いに信頼し合うが、確認し合う」ことが大切である。このことは、私はいろんな講演の場でも紹介している。
「日本人宇宙飛行士安全検討チーム」の検討会での内容は、守秘義務があるので、具体的なことは紹介できないが、NASAの事故調査、対策などの取り組み姿勢は、失敗やリスクを乗り越えて、果敢に前へ前へと進む、アメリカの西部開拓史以来のフォロンティア精神を感じざるを得なかった。
(写真は若田さんとJAXAでの対談を終えた時の撮影)

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