コラム

ラジオの良さ(その2)「ラジオは想像力・感性が磨かれる」

以前、NHKアナウンス室から航空関係のニュースを放送する際に「スタジオ解説で役に立つ視点」についての講演依頼を受けた。2017年1月18日に、渋谷のNHK放送センターで、アナウンサーの皆様にいろいろな事例を紹介しながら、放送に役立と思われる視点をお話した。
アナウンサーは話し方の専門家である。特にNHKのニュース番組を担当するアナウンサーは、その世界では一流の人たちである。どの世界であれ、一流の人に接するといろいろと勉強になることがある。
「ラジオ深夜便」を聴くようになって、NHKのあるアナウンサーの方から伺ったことを思い出した。それは季節を表す日本語の言葉の「音」についてであった。
日本語は、母音と子音の組み合わせで成り立っている。普段、我々が何気なく使っている「春・夏・秋・冬」という音にも情感が込められている。春は、「 HA」という解放された音と、「RU」という丸みのある音がつながって、待ちわびていたぬくもりを伝えている。夏は、「NA」という明るい音に、「TSU」という摩擦音が加わることで、暑さを感じる。秋の「A」と「KI」 は、いずれも澄きった音で、晴れ渡った空を思い浮かべる。冬の「FU」と「YU」とは、いずれも唇をすぼめて、寒さに身構えるような響きがある。今年の冬は、このところ寒さが一段と厳しい。寒さのなかで「FU・YU」と言ってみると、「なるほど」とうなずける。テレビやYou Tubeの映像は、季節の光景をそのまま伝えてくれる。ラジオでは、聴いている人それぞれが、自分なりにイメージする。想像力、感性が自然に磨かれる。
これも、ラジオの持つ良さのひとつだと思っている。

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