コラム

8月12日のテレビ出演

毎年8月12日になると1985年の8月12日に、日航のジャンボ機が御巣鷹の尾根に墜落して520名の尊い命を失った事故について、様々な角度からの放送が各テレビ局で報道される。今年もそのひとつとしてTBSテレビ(全国のJNN系テレビで放映)で放映された。放送の内容には第2エンジンのギアボックス(エンジンの回転力を発電機などに伝える歯車装置)についてであった。事故当時は恐らく墜落の衝撃で土に埋まっていたであろうこの部品が台風の大雨による土砂崩れで、地表に現れて発見されたと想像される。
私は取材応じて、非常に重いコメントをした。
『事故から36年経った今、事故機の部品の一部がほぼ当時のままの形で発見されたということは、事故原因に直接結びつくものではなりませんが、事故を風化させてはならないということと、あらためて安全運航の重要性を知らされましたエンジンは最後まで正常であったことから、このギア(歯車)も最後まで回転していた可能性があると思うと、なんと言ってよいか言葉には表せません』と言葉に詰まりながらコメントしました。
その他、ご技術的なこと、前日の8月11日に国内線乗務した様子、事故の2日後、国際線を乗務した際の自分自身の気持ちのコントロール、一緒に乗務した乗員たちに地上では事故について思いがあるが、フライト中はいつもと同じ気持ちで注意力、判断力に不具合が生じないよう、一便一便を新鮮な気持ちで安全運航を全うすることの大切さを話したことなどをコメントしましたが、放送は尺(放映時間の枠)の関係で、発見されたギア(歯車)のことだけでした。
ご遺族の皆様の悲しみは消えることはありませんが、この事故の教訓を「安全の礎」にして、官民が必死に安全運航取り組んでおり、この事故以来36年間、乗客の死亡事故ゼロが続いています。

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