コラム

「Go Toトラベル全国で一時停止」と危機管理の鉄則

ここにきて感染拡大がやまず各地で医療崩壊が近づいており、政府はついに「12月28日~1月11日をGo Toトラベル全国で一時停止」を決定した。国としてはその責任おいて、感染防止と社会活動・経済活動を両立させたいことは十分に理解できる。しかし、最重要なことを同時に両立させることは、無理であるあることは古来自明の理である。
「二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ず」は危機管理の鉄則でもある。
この諺(ことわざ)は古代ギジシャが起源であると言われており、広くヨーロッパでも知られており各国の原語で表現されている。ちなみに英語では“If you run after two hares you will catch neither”となっている。
前回(12月9日)のブログでも書いたように、まず感染者数をある一定値まで阻止した後に、経済活動に重きを置くことが、結果的にダメージを少なくすることができるのである。
菅首相も官房長官として長年、国の危機管理を担ってきており、この程度の道理は十分に理解していることは想像できる。しかし、二兎を追ってしまったその要因は、二つ考えられる。
ひとつは、政府のコロナ対策の専門家会議の名称自体が「新型コロナウイルス感染対策専門家会議」という名称が示すとおり、感染の専門家が中心であること。今回のコロナは国家の危機であることから単に感染対策だけでなく「新型コロナウイルスに関する危機管理会議」とすべきであり、委員には感染の専門家、免疫の専門家、医師会代表、経済界代表など、そして何よりも危機管理専門家」で総合的に議論すべきであった。もうひとつは、危機管理の鉄則を分かっているはずである、菅首相が『目先、嫌わる決断』ができなかったことがあげられる。菅首相の心中や、その事情や背景は私には分からないが、危機管理の視点から述べさせて頂いている。
究極の意志決定や、変化の激しい時代、不確実な時代で、かつ情報が少ないなかでの意志決定に際しては、格言、古典、原理原則が参考になることは、拙著「OODA 危機管理と効率・達成を叶えるマネジメント」にも述べているので、参考にして頂ければ幸いである。

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