コラム

通園送迎バス置き去り死亡事件

通園の送迎バスで3歳の女の子が置き去りにされて死亡した痛ましい事件はまた起きた。

事故に至った原因について、認定こども園の責任者から以下の4つミスが重なって事故に至ったとの説明があった。
① バス下車時に乗車名簿と下車する子どもを照合する決まりが伝えられていなかった。
② 園児がバスに取り残されていないかダブルチェックする態勢になっていなかった。
③ クラス補助が登園情報を確認できていなかった。
④ 登園するはずの園児がいなかったにもかかわらず、保護者に問い合わせしなかった。
大切な子供の命を預かるこども園としては、あまりにも甘い体制に誰しもが憤りを感じるであろう。この事件は昨年福岡県でも起きたにもかかわらず、その教訓が活かされていなかったのは非常に残念である。

同様の痛ましい事件が再び起きないために、安全管理、危機管理の面から考えてみることにする。
(1) まず、スイスチーズモデルを使った視点でみると、4つの項目のうち一つでも実施できていたら痛ましい結果に至らなかったが、すべて、事故を防ぐ壁(確認作業)を通り抜けてしまった。
(2) 安全管理の要諦である「愚直なまでに基本・確認の徹底」
(3) 危機管理の第一歩である「何が一番大切か」という重要度の把握。今回の事例は「子供の命」が一番大切であるはず。この重要度を把握して仕事をしていれば、誰から言われてなくても、それぞれが確認をせずにはいられないはず。
(4) 人間は間違い、勘違い、抜けなどの一般にミスといわれるヒューマンエラーを発生する可能性は誰にでもある。人の生命に関わるような大事なものについては、記憶に頼らず、必ずチェックリストで確認をする。今回のケースではチェック項目はせいぜい5個前後である。これを送迎バスと、園に置いてチェックリストを実施することを義務化する。
(5) こうした事件が起きるたびに「誰が悪かった」という責任追及よりも、事件、事故が起きないようにシステム(体制)の構築が再発防止にとって大切である。
 図はスイスチーズモデルである(参考までに)

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