コラム

太陽フレア(Solar Flare)の影響が2025年に日本へも

太陽フレア(Solar Flare)は、太陽の表面の異常爆発で発生した放射線などが地球に届く現象で、停電や通信障害を引き起こす可能性がある。
私は以前アラスカのアンカレッジから北極の上空を経由してヨーロッパに向けて飛行中、オーロラが鮮やかな色を発して激しく揺れている光景を操縦席からみていた。そのとき管制とのHF通信が2時間以上交信できなかった経験がある。当時、太陽の黒点活動が活発であったことを後から知った。
太陽の異常爆発は十数年単位で推移して、2025年が次のピークといわれている。日本はこれまで大きな対策をとってこなかったが、技術革新や国際的な流れを受けて総務省は企業や行政向けの新たな警報を検討し2022年度中の導入をめざす。2025年には自動運転車やドローンなど新技術の普及が進むとみて、必要な体制整備を急ぐ必要がある。ドローンや走行中の自動運転車に太陽フレアの影響が出れば、GPSの位置情報がずれるなどし、衝突事故が起きる可能性もある。太陽フレアの放射線が送電線に影響することもあり停電する恐れがある。スウェーデンでは2003年に大規模停電が発生したことがあった。
国連防災機関(UNDRR)は昨年10月、太陽フレアを「社会生活への脅威」と位置づけ、各国に対策見直しを提言している。米国は国土安全保障上の自然災害と位置づけており、2015年に国家戦略を策定している。英国も2021年に同様の国家戦略を掲げており、中国とロシアもすでに2018年に相互協力協定を結んでいる。危機管理の甘い日本は明確な指針がなかったが電波を扱う総務省がようやく動きだし、今年の4年1月12日から今日(6月21日)まで10回の検討会を開催して報告書をまとめて公表した。その主な内容はNHKの今夜7時のニュースでも報道されたので、このニュースを観た方も多いかと思う。

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